大学時代の4年間を毎日一緒に過ごした友人がいます。
5人グループで、各々別のゼミに所属してからもなんだかんだで一緒に過ごしていました。
5人のうち、私ともう一人が京都、高知に一人、城崎に一人、そして広島に一人
離れて暮らしてもうすぐ40年が過ぎようとしています。
結婚して、仕事をしながら主婦をして、子供を育て、そろそろ定年を迎えた仲間もいて
やっと一息ついてこれからはしばしば会う機会を設けようね、と言っているうちに
今度は親の介護などでなかなか全員が揃うことは難しくなっています。
京都・大阪や神戸、岡山、広島などで集合することが多かったのですが
最後に5人全員で会えたのは何年前だったか。
先日、その広島の友人から「教えて」という件名のメールが来ました。
彼女はどちらかといえばアナログな生活を好んでいて
普段からメールよりは「手紙」の人です。
きれいな字でさりげない近況をいつも知らせてくれるのですが
筆不精な私はついつい手紙の返事が遅れてしまい、メールで「ごめんね」と返すことも多いのですが、
その彼女からのメール
床の間の柱の上の方に青竹の筒がかけられ 、そこから長い柳の枝が 途中でくるんと大きく和を作りながら、床まで垂れています。 垂れた先の床の上には、小さな赤いお座布団に金のかわいい打ち出の小槌が置かれていました。
この場合の『床』は、『とこ』と読むのでいいの?
と、簡潔にそれだけが書かれていました(^-^;
そのメールを見てすぐに彼女がやっている音訳ボランティアの最中で
すぐに返事が欲しくて待っているだろうことが想像できました。
どのような本を音訳しているんだろう……
この描写はお茶の初釜の様子に違いない。
すぐに、
「『とこ』だよ」と、結び柳の画像を添えて返事を返しました。
(今年の初釜、薄茶席の様子です。年々、長い柳を手に入れるのが難しくなってきている、と伺いました。
友人に送ったのは今年の画像ではありません)
しばらくして
「画像までありがとう。 実際の様子がイメージできて読むのとまったく知らないのとではきっと結果が違っていたと思う」
と返事がきました。
まじめな彼女らしい(^^)
初釜には欠かせない結び柳 綰柳(わんりゅう)とも言いますけれど
それについてはネット上に以下のようなわかりやすい説明がありました。
結び柳は、唐の張喬の詩に
離別河邊綰柳條(河辺に離れて柳条をわかぬ)
千山萬水玉人遙(千山万水玉人遥かなり)
とあり、昔の中国では大陸のため河を利用する
ことが多く、門出の際に送る者と送られる者が、
柳の枝を持ち、柳の枝と枝を結び合わせて
別れるという古い風習があった。
輪にすることで、再び巡ってもとに帰ることを意味
するなど諸説あり
この故事から、利休が送別の花として
「鶴一声」と呼ばれる有名な名物花入に
柳を結んで入れたのが茶席で柳を入れた
はじまりではないかと言われている。
お正月の柳はその年の門出を祝う飾りとして、床の隅から
長く垂れていけるもの。
お正月に結び柳を床の間に飾る風習はいつごろまで残っていたのでしょう。
私の実家ではお正月の飾りといえば 餅花 と、大ぶりな松の枝に
大判小判、鯛や宝船、打ち出の小槌などのおめでたい紙でできた飾りを吊るす
松飾 というのをお座敷の天井近くに飾っていました。
(画像はお借りしました。実家で飾っていた松飾はまさにこんな風なものです)
高齢の母一人になった実家ではもうこんな正月飾りをすることもなくなって
懐かしく、少し寂しい気もしますけれど
お茶の初釜にお邪魔させていただくと伝統的な日本の正月を感じることができて
とても贅沢な気持ちになれます。
いつか機会があれば音訳ボラをやっている友人を初釜に誘ってみたくなりました。