梅雨明して酷暑と言う表現がぴったりの土曜日でした。
今日は以前から楽しみにしていたランチ&お茶会
お昼に5人で集まってこの春にできたばかりのお店でランチ。
お昼の八寸
このメニュー、今日一緒に出掛けたメンバー、Sさんのお友達が考案されたもの。
一口ずつ、チョコチョコ口に。
どれもヘルシーで美味しくいただけました。
画像左の飯碗の上に映っている白い卵型の器の中には生卵が入っていて
八寸を頂いた後で卵かけご飯にしました。
ランチしながらおしゃべりに花が咲いて、次の予定が無ければこのまま食後の
デザートとコーヒーか紅茶を、となりそうな勢いだったのですが
本日のメインイベント、お稽古仲間のお茶室へお邪魔しに行きました。
町家の中に設えられた本格的なお茶室
古い町家をリノベーション。
真新しく気持ちの良い白木の引き戸を開けると茶室の路地にあたる庭
蹲の反対側には待合がありました。
身支度を整え腰掛待合に座っていると気配を感じてご亭主(お稽古仲間)の迎いつけ。
席入りすると、三畳台目に杉板をプラスした茶室の主のアイデア。
杉板の一部を開けると中に炉が切ってある趣向です。
躙口(にじりぐち・お茶室の出入口で頭を下げてかがみこんでにじり入る小さな入り口の事です)と、お足の悪い方でも気軽に入室できる貴人口(貴人が立ったまま出入りできる出入口)があるお茶室です。
「お暑い中をようこそ」のご挨拶に、自家製の良く冷えた梅ジュースを出していただき
身に纏ってきた外の熱気がス――っと引いていきました。
点前座に、大ぶりのたっぷりしたお水指と可愛い仕覆に包まれた茶入が置かれていました。
あら、濃茶をいただけるんだわ、とちょっと嬉しい驚き。
というのも、手ぶらで気軽にお茶を飲みに来て、というお話だったので
濃茶を練ってくださるとは思っていませんでしたから。
縁高で主菓子が運び込まれ、お菓子をいただき終わると亭主は入室、
点前が始まりました。
いつも一緒にいるメンバーなので、たっぷりした黒の沓形茶碗に5名分を練ってくれました。
まったりと薫り高く美味しいこと。
次客が一口頂いたタイミングで正客と亭主の問答が始まります。
とは言ってもお仲間同士なので定型文的なお茶の銘とお詰(そのお茶がどこの店の物か)を尋ね、
先ほど頂いた主菓子を尋ねると、亭主の手製とのこと。
しっとりと柔らかく上品な甘み、滑らかな菓子は擬宝珠形。
和三盆を贅沢に使ってこしらえてくれたとのことでした。
きっと私たちが尋ねると約束していた時間に合わせて練りきりを作ってくれていたことがわかる出来栄えでした。
床のお軸や飾り物の話をし、茶室全体の作りの話で時間を忘れるほど盛り上がりました。
茶室を作る楽しさと難しさ、職人さんとのお互い譲れないせめぎ合い、
そんな話を、やはり茶室を持った経験のある一人が「わかるわ!」と。
柱一本、石一つ、茶室の主と職人さんとの間の丁々発止のエピソードも
伺っていると興味深く楽しいばかりでした。
ひとしきり話が盛り上がった後、薄茶の点前に。
出してくれた干菓子もお手製。
この茶室の持ち主は祇園祭りの四若振興会のメンバーで
祇園祭の最中、櫛稲田姫尊が御移りになる東御座の神輿を担ぐお役目を長年務めていて
先日の神輿の御旅所へのお移りの際の神輿タコもちらりと見せてくれました(笑)
床飾にも三宝の上に、神輿に使われている稲のお下がりを束ねた物
濃茶茶碗に添えた出帛紗は祇園祭四若の手ぬぐい、と
テーマは祇園祭、というお茶会で迎えてくれました。
「気楽に一服しに来てください」というお誘いにもかかわらず
濃茶・薄茶と頂き、菓子はいずれもお手製。
きっと朝から灰を整え、炭を組み、菓子を作り
お手間をかけてくれたことが手の取るようにわかる午後の時間でした。
「皆さんが来てくれる、と思うとあれもこれも、と気持ちが起きました。」と
帰宅後に送ったお礼のメッセージへの返信に書き添えてくれていて
本当に嬉しくありがたい時間を過ごさせてもらえたことを帰宅後もしみじみ、
余韻を楽しめたのもお茶会の醍醐味でしょうか。
気軽に、と思っていたので浴衣の反物を単衣仕立てにした綿絽の着物でお邪魔しました。
実家のタンスの中で数十年眠っていた反物を数年前に仕立てた物。
本藍染の綿絽です。
帯は夏博多
手先を長く取りすぎてお太鼓の下に折れ線が出てしまっています💦
帯締めはレースで薄紫
それにしても、工夫次第でマンションや町家の中にもあんな素敵なお茶室が作れるという事を教えてもらえる機会でした。
あぁ、幸せな一日。