桜が早々と散って、牡丹も例年よりも3週間ばかし早く咲き誇って、
ついにはTVニュースで、宇治・平等院の藤が咲いている、と言っていました。
そういえば、平等院の藤を見に行ったのはいつだったか、コロナ以前だったから……
と、自分の記事を確認してみたら2019年の5月でした。
hibinokurasikata.hatenablog.com
この時、GWの最後で人出で、お寺の門を入っても人の頭しか見えなかったことを思い出しました。
今日はお茶のお稽古日だったのですが、袴付けで一緒になったお仲間が
「平等院の藤が咲いてるっていうし、早くしないと!と思ってこの帯締めてきた」と
美しい赤紫の藤が描かれた帯を締めているのを見て、
内心、(しまった! 藤の帯、来週では遅いかも💦)とちょっと焦ったことは内緒です(^^;)
そんな、「しまった!」私の今日の着物は、実家で作ってもらった小紋。
お気に入りのこの小紋、柄は唐華なのでしょうけれど、クレマチスにも見えるので
この季節になると着たくなります。
子供の頃、作ってもらった着物と言えば、お正月に着ていたアンサンブル(当時はアンサンブルが流行ってたんです)か、夏の浴衣。
この着物は18才の時に、初めて作ってもらった「ちゃんとした小紋」です。
ちゃんとした小紋、っていうのも変ですけれど、実家で暮らしていた頃に作ってもらった着物の中でもこの小紋がとても好きで、
洗い張りして、八掛を段々おとなしい色目に変えながら、もう45.6年、着ています。
帯は比較的薄い織で七宝繋ぎが織り出された正絹、西陣織の九寸名古屋です。
お色目は勿忘草(ワスレナグサ)色。
淡く明るい水色です。
帯芯がとても薄いので締めやすく、どんな着物にも合わせやすい便利な一本です。
帯揚げは小紋の模様の中の一色、オレンジを取って、同じようなくすみオレンジの変わり織にしました。
たなびくあかね雲のような柄が織りで入っています。
帯締めはインパクトをつけたくて、こげ茶に片側だけクリーム色の糸が組込まれた平。
気温が安定しない春ですけれど、黄砂も飛んでいるし、紗の塵除けを着て出かけました。
この塵除けは祖母の紗の着物でした。
目いっぱい、裄を出してもらって、歩く時に足さばきのいい寸法で、とお願いして15年ほど前に仕立て直してもらったものです。
繰り回しをお願いした悉皆屋さんが
「ええ具合に上がってきましたわ、便利に使うてもらえますわ」と、まるで自分の手柄のように言いながら納品に持ってきてくれたことを今でも思い出すとくすっと笑ってしまいそうになります。
お稽古場のお茶室には唐銅の瓶の姿の花入れに、我が家の牡丹が一輪、入っていて
ちょっとびっくり。
だって、先週金曜日のお稽古の際に持って行った牡丹の蕾、二輪のうちの一輪を、
宗匠が大事に大事に毎日水揚げして、ちょうどいい具合の蕾の膨らみ具合で10日間も持たせてくださっていたのです。
何が嬉しいって、宗匠の、弟子に対するそういうお心遣いが本当にありがたく、
我が家の牡丹たちは昨日の雨で無残な姿になってしまったにもかかわらず
宗匠のところへ持って行った牡丹が見事な様子で床に飾られていて、牡丹も本望だろうと思いました。
今日も午後3時頃から雨が落ち初め、夜にはかなりきつい降りになりました。
気まぐれな春の雨。
バラたちは存分な水分を吸って元気に芽を伸ばし蕾をつけ始めていますけれど、
今年の牡丹があっという間に終わろうとしていることが少し恨めしい気持ちで庭を眺めています。