こと子の日々の暮らし方

夫婦と猫3匹との平凡な暮らしを日記代わりに綴っています

映画館を出たら雪が舞い始めていました。

天気予報、当たりました(っていうのも変だけど)

 

当地は夕方から雪。

特に、碁盤の目の一番北に住まいしている我が家は

夕食時には雪が積もっていました。

 

今日、映画を観に出かけました。

『土を喰らう十二か月』

沢田研二さん主演の、水上勉原作作品の映画化です。

 

本当はロードショー館で公開されている間に観に行きたかったのですけれど

上映時間と日にちのタイミングが合わなくて、そうこうするうちに大手シネコンでの上映は終了。

2番手劇場に作品がかかるのを待っていて、

四条烏丸の角のビル内に入っている「京都シネマ」で観る事が出来ました。

京都シネマは所謂、単館系の劇場。

今日、『土を喰らう十二か月』が上映されたスクリーンも

席数60あまり。

スクリーン自体、ちょっと贅沢なホームシアターくらいの大きさかも。

 

映画を観る時、どんな席を選びますか?

最適な座席は、スクリーンの横幅を底辺をした正三角形の頂点に当たる席、として設計されています。(昔、仕事をしていた時に教わりました)

 

で、融通の利かない私は、業界を離れてからも映画を観る時の座席指定は

いつも三角の頂点の席です。

 

実は、私、小5の時からのジュリーファンです。

小5の時、テレビでグループサウンズの「ザ・タイガース」でジュリー(沢田研二さん)を見た時に一目ぼれし、

その後、GSが下火になって「ザ・タイガース」が解散し、ソロとして活動するようになって、ますます好きに拍車がかかっていました。

当時、ファンの間では「ジュリーは太りやすい体質やからプレゼントはシュガーカット(ダイエット甘味料)なら受け取ってくれる!」とまことしやかな噂があって、

私も(今考えると、きっと破棄されていたのでしょうけれど)ファンクラブの事務所宛にシュガーカットを送ったことがありました(^^;)

 

そんなジュリー、還暦記念のコンサートしていた頃はコロコロと、ブラウスのボタンが始めそうなほど太っていました。

でも、艶っぽい声は昔のまま。

私は、ジュリーの甘いマスクと、あの色気たっぷりの声が好きなのでした。

 

『土を喰らう十二か月』の中でのツトムさん、ジュリーは、

いい塩梅の体型の「おじちゃま」になっていました。

 

映画の冒頭、山の中の古い民家の囲炉裏で沸かしたお湯で盆点前するシーンがあったり、

囲炉裏の灰に徳利をさし、熱燗を飲むシーンがあったのですが、

もうその冒頭部分から、私にはある一つの、重なる景色・印象が強くあって、

 

映画作品の中に出て来る、ツトムさんの暮らしの在りよう、劇中で使われている器たち、

それらを見れば見るほど、思い出す人がいました。

 

伊賀の丸柱の窯元、土楽の福森さんのお宅と、その生活ぶり、

それを、映画の中では、ジュリーが、まるでそのままやっているのです。

 

春に野山で山菜を取り、夏には池でジュンサイやすっぽんを採り、

秋には木の実やキノコを、そして冬には雪の中。

 

陶芸家で料理人の福森道歩さんや、そのお父様の福森雅武さんの暮らすお宅は

家の中は快適にリフォームされて、おくどさんもありますけれど、

システムキッチンが入っていますが、外観は昔ながらの古い大きな民家で、

居間には真ん中に大きな囲炉裏があります。

劇中のツトムさんの家の窓辺に、(多分シルエットからそうだと思うのですが)大黒・戎の像がさりげなく置いてあるのですが、

以前、お邪魔した際には、福森さんのお宅の居間にも、古い仏像が、その場の空気に溶け込むように置いてありました。

 

映画を観ながら、ずーっと、(まるで福森さんちの生活を見ているみたい)と思っていたので、エンドロールを目を凝らして見てみたら

器協力 として 福森雅武 とクレジットが出てきました。

 

(やっぱり!)

 

劇場で購入したパンフレットを家に帰って読んでいたら、

この作品で料理監修を担当した土井 善晴さんが、監督に

「伊賀の土楽の福森さんのお宅を訪ねてみてくればいい」と仰った、と書いてありました。

なるほど、やっぱり! と合点がいきました。

この作品の中でのツトムさんの暮らしぶりは福森さんの暮らしを参考にしたもの、

だから映画の最初から最後まで、私は「まるで福森さんの生活」と思ったのでした。

 

 

作品中に登場するお料理も素晴らしかったけれど、一番引き付けられたのは

使われている器たちでした。

独楽塗りの丸盆、十分に雨漏りが出た粉引きの徳利。

染付のお茶碗、野菜を洗う大きな鉢、洗ったお米を受けるざる、

何もかも垂涎の器たちでした。

 

原作の水上勉さんと言えば、京都・相国寺塔頭、瑞春院に子供の頃に小僧として修業(口減らし)に出され、そこで見聞きしたことを書いた「雁の寺」が有名です。

この小説が出版され、映画化された当時、京都の仏教界からの反発が強く、

「雁の寺」は水上勉さんの、寺院・仏教界に対する意趣返し、といったものだったのでしょうけれど、

今では、当の瑞春院は「雁の寺」として有名になり、この小説のタイトルにもなった雁の襖絵を時折、特別公開しています。

 

そして、今日見た映画の中では、主人公のツトムさんは

瑞春院での修行生活を、美しく懐かしい思い出、としてだけ心にとどめている演出になっていました。

 

時の流れによって、人は、恨みや怒りなど、負の感情を消化し水に流していく、という事も描いていたのかもしれないな、とこれは私の勝手な解釈です。

 

観た映画の感想はここではあまり書かない、(作品はここで感じ方が違うものだと思うから)と決めているのに、

今日はなんだか、やたらおしゃべりしたくて、長々と書いてしまいました。

 

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