いつもお手入れをお願いしている近所の呉服屋さんからお願いしていた手入れが仕上がった、と電話をもらったので取りに行ってきました。
今回お願いしたのは長襦袢2枚と、訪問着1枚。
訪問着は
hibinokurasikata.hatenablog.com
今年の稽古始に着用した鳩羽鼠色の吉祥文様
この記事にも書いていますがこの着物、裄の直しをしていなくて昔の寸法のまま、
1尺7寸2分ほどでした。
誂えてもらった頃の着物の裄は全部1尺7寸2分。
今の私の裄の寸法は1尺8寸なので3㎝も違います。
長襦袢はすべて1尺7寸9分に仕立ててあるので裄を出さないことには嘘つき襦袢しか着られません。
そんなわけで実家のタンスから持ち帰るたびに1枚、また1枚と裄出しのお直しに出しています。
今回は裄出しを肩と袖との間でできず
(小紋や色無地なら縫込みがあれば肩と袖の間で裄出しをしてもらえますけれど訪問着なので柄が続きませんでした)
一旦袖を外して袖を作り替える、袖口のほうを調整してもらって裄を希望通りの長さに仕立て替えてもらうことになりました。


長襦袢のお手入れ
この長襦袢、私が18歳の時に誂えてもらったものなのでもう44年の年期ものです。
当時は裄1尺7寸1分、袖丈1尺4寸でした。(当時も今も私の身長は163㎝です)
訪問着に合わせて誂えてもらったので袖丈も1尺4寸(53㎝)にしてあったんです。
若い頃は、
紬の袖丈<小紋・色無地の袖丈<訪問着の袖丈
の順に袖丈も変えて仕立てて貰っていました。
(噂によると着物を種類によって袖丈を変えて仕立てればその着物に合わせた数だけ長襦袢を作ることになるので紬や小紋、訪問着とそれぞれ袖丈を変えていた、という話もあるようですけれど、本当の話⁉️)
で、着物の袖丈を全て1尺三寸にした時にこの長襦袢も解いて洗って裄1尺7寸9分、袖丈1尺2寸9分に仕立て替えてもらい、
今も大事に着ています。
そう考えると日本の着物ってすごいですよね、44年前の長襦袢がお手入れさえちゃんとしていれば何の問題もなく着ることができるのですもの。
もう一枚の長襦袢。
こちらは台襟に変色が出てしまったので台襟を付け替えて半襟をつけてもらいました。
何度も書いていますけれど、私は不器用で半襟付けが大の苦手。
なので襦袢をお手入れに出すときには必ず半襟もつけてもらいます。
この2枚の襦袢につけてもらった半襟
いつもの「洗える正絹の半襟」のワンランク上のものです。
いつものとは匁が違っていて少し厚みがある上等なのですが
お値段はいつもつけてもらっているものと同じ。
何故かというと、
半衿屋さんが店仕舞いされたのでいつもの下代よりも安く仕入れたからなんだそうです。
私が着物のあれこれをいつもお願いしている呉服屋さんはこの春に代替わりして
娘さんご夫婦が継がれることになっているのですけれど
コロナの影響で呉服関係も商売を畳むところがあちこち出てきている、と
そのお店のご主人が「上等の半衿が安うに入りましたんや」というはなしをした時に言っていました。
飲食ばかりが取り上げられていますけれど
「いまはどこともそれはしんどおまっせ」って。
茶道にしても、ことごとくお茶会が取りやめになっているせいで
お茶用の上生菓子を作っている菓子司や、お茶司、
ひいては茶葉を生産している農家さんや小豆を作っている農家さん、
砂糖を商っている卸し屋さん、など
ちょっと考えただけでも見えない部分で窮しているところがたくさんあります。
一日も早くコロナ感染が収束(終息はとても無理でしょうけれど、収束なら)し
経済が回り始めてみんなが普通に笑顔で暮らせる日が戻ってほしいと思います。