今朝、目覚めてカーテンを開けると雪が積もっていました。
朝ごはんの支度をしていると外をヘリが飛んでいる音が。
きっと『雪の金閣寺』を撮影に来ていたのでしょう。
雪が降ると必ずヘリの音がするのはお約束です。
(今日のニュース映像から)
さて、先日 いつもの呉服屋さんに義母のタンスからもらってきた着物を持っていた時のお話です。
この時は訪問着3枚の裄直しをお願いしました。
呉服屋さんでは品物を預かるとき、3枚つづりの台帳に預かった品の内容をできるだけ詳しく書き込み、一枚をお客に、一枚はおそらく預かった着物につけて実際に仕事をしてくれる人の元へ、最後の一枚をお店の控えにされているようで
着物の仕立てや直しをお願いして仕上がってきたときには「着物につけて実際に仕事をしてくれた人」が書き添えたメモなどが仕上がった品を包んだ畳紙に添えられて戻ってきます。
3枚の訪問着を預けたこの時も
①袷 訪問着 緑裾灰ぼかし 茶屋辻 一つ紋 五三の桐 裄1尺8寸に
②袷 訪問着 空色 熨斗柄 一つ紋 丸に五三の桐 裄1尺8寸に
……そんな風に書かれていました。
義母からもらった着物、ということはお話してあったのですが
呉服屋のご主人(娘さん夫婦に代を譲られたということになっていますがお店に出ずにはいられない、ということでほぼ店に出ていらっしゃる、そして私の着物はその元ご主人が担当してくれています)から
「旦那さんのお母さんは関東の人?」と尋ねられました。
結婚前は大阪人で着物は大阪の呉服屋さんで誂えたものが多かったみたいです、とお返事すると
「紋に〇が付いているのは男紋というて関東でつける紋ですのや、そやしお義母さんは関東の人かいな、と思って」と。
義母には妹がいてその方(私にとっては義理の叔母)は東京に嫁いで今も東京にお住まいです。
その話をすると
「そうか。この着物(丸に五三の桐の紋が付いている訪問着)は他の着物と着丈も違うし、そんならその叔母さんの着物かもしれませんなぁ。
この訪問着 着てて
(やぁ、男紋つけてはる)と、もし言われたら
(関東でこしらえた着物です)って言わはったらよろしいわ」
ってそんな風に教えてくれました。
関東と関西で紋が違うんですか?女は母方の紋を引き継いでいくものやと母や祖母から聞いてたんですけど、と尋ねてみました。
関東は武家社会、関西は公家社会
着物の紋も、関西では女の着物の紋には〇はつけない
一方、関東では女性ものの着物の紋にも男性同様〇をつける。
男紋・女紋 という言葉にもいろいろ意味があって
女紋は
・男紋より一回り小さい
・女系で継承されていく
・一般的に縁起が良かったり美しかったりする「蔦」「五三の桐」「揚羽蝶」などが用いられることが多い
・家紋とは違っていることもある
・嫁いでからも家紋が女性らしくなかったり無骨だったりすると一般的に使われることが多い女紋をつけることがある
その他にもいろいろと面白い話を聞くことができました。
でも、家紋に〇が付いているのは 男紋・関東の紋、という話は全くの初耳で
新鮮な気持ちで話を聞くことができて楽しかったです。
古い呉服屋さんはこういった珍しいお話を聞かせてくれることがあるので、店に行くたびについつい色々と話し込んでしまいます。
紋の話を聞いて、ネットでも少し検索してみましたらやはりなかなか奥が深いようです。
ご興味のある方は調べてみるのも面白いかもしれません。
ところで、もし私が義母のタンスからもらってきたその「男紋のついた訪問着」を着て出かけて着物警察に確保されて
「あんた、それ男紋ですやんか‼」と言われたら
「あら、わたくし東京の生まれなので紋には〇が付くのですよ、おほほほ」
って逃げることができるんでしょうか?