結婚して京都に住むようになってから、それまで実家で暮らしていた時にはなかった習慣を知ることが何度かありました。
その一つ。
水無月という和菓子を6月30日に食べる風習。
今でこそ、Instagramなどで紹介されて「夏越の祓」の茅の輪くぐりも有名になりましたけれど、私が京都で暮らし始めた頃、茅の輪を境内に設置されている神社は今ほど多くありませんでした。
夏越の祓とは、1年の半分にあたる6月30日に、半年の間に身に溜まった穢れを落とし、残り半年の息災を祈願する神事です。
神社には人の背たけよりも大きな茅の輪が据えられ、参拝者はここをくぐって厄除けを行います。
きっとSNSの世界の「映え」の影響であちこちの神社さんが茅の輪を置かれるようになったんじゃないかと思っています。
だって、実家の神社でも茅の輪が境内に設置されているようになったんですから!
ほんと、驚きです。
で、和菓子の水無月。
6月30日に京都の人が頂く風習があるのですが、
これも実家で暮らしていた時には知らない和菓子、知らない風習でした。
外郎の上に小豆などが乗った三角形の和菓子です。
氷室の氷を模したものです。
昔はこの時期、氷室開きと言って、氷室に貯蓄していた氷を御所に献上していたそうです。
それをアマチャヅルの甘い汁を掛けて食していたのだとか。
真夏に氷、 何と贅沢な食べ物なんでしょう。
菓子司の『末富』さんでは、毎年6月30日に「葛の水無月」を販売します。
水無月と言えば外郎が当たり前のようになっている和菓子なのですが
実のところ、私は外郎が少々苦手。
嫌いなわけではないのですが進んで(食べたい!)と思わないお菓子です。
小さい頃にお土産でもらった「青柳外郎」のイメージが強すぎるのかも。ごめんなさい(^^;)
で、末富さんの葛の水無月を今日、受け取りに行ってきました。
葛の透明感がいかにも氷室の氷を切り出したような風情です。
本葛を使った水無月。
少し甘みが強いような気もしますが、夫と美味しくいただきました。
明日から7月。
7月1日から7月31日までの1ヶ月間、八坂神社の神事、祇園祭が行われます。
祇園祭と言えば宵々山・宵山、山鉾巡行だけが取り上げられがちですが、
実は7月1日から毎日、一か月間、何かしらの神事が行われています。
で、明日から祇園祭と言うことで、今日は各鉾町、山町の境界に当たるところに
提灯が上がり、道には雪洞を設置する工事をやっていました。
函谷鉾町の提灯。
ずっと以前、「菊水鉾が優美で好きです」と言いましたら
生粋の京都人の方に「菊水さんは新しく作らはったとこやしねぇ」(そやからうっとこ【うちのところ】みたいに歴史のある鉾じゃない、と言う意味)と言われたことがあります……
菊水鉾は蛤御門の変の際に焼失し、長く鉾が無かったのですが昭和27年に再興されて「昭和の鉾」と言われているんだそうです。
やはり京都は怖い。