実家と、母の入所している施設に行っていました。
先月、骨折で入院していた病院を退院した時以来の母との面会でした。
実家の地区の粗大ごみの日に合わせて出かけ、母が残していった不要な品をごみの集積所に出したり、留守中に伸びた庭の木を(少し)刈ったり、
草を抜いて、
母が在宅していた頃に二階のベランダに洗濯物を干しに上がるのが辛いから、と
庭の自転車置き場に移動させた物干しをベランダに戻したり
介護施設に入った時に持っていかなかった冬物のセーターやカーディガンをまとめたり、
お世話になっている方々へ歳暮のあいさつに回ったり、
名のないような用事をチョコチョコと済ませてきました。
コロナが少し落ち着いて施設の面会が事前予約すれば可能になったので
母にも会ってきました。
時間は15分。
入院中に少し進行していたせん妄がますます進んでいるようで
先日から何度も電話をしてきては
「詐欺をしてしまって逮捕されてるのよ、新聞の一面に大きく顔写真が載って
〇〇与津子(母の名前です)詐欺で逮捕、って出てしまったの」と自分は詐欺で逮捕されている、と言ったり、
「昔、世話をしたことのある△△という人が最近になってまた近寄ってきて
あれやこれや悪だくみをして私の悪口を言いふらしている、それで次にはあんたの娘(私のことです)を狙ってやる、と言っているから十分気を付けるように。
親切そうな顔して近づいてくるけど絶対に信用してはだめ、その人は凄く悪い人だから。 人をだます詐欺師だから」とか
「あんたに鶴と亀の置物を買わせるように言われているの、今度その人と会って鶴と亀の置物買っておいてくれる?」とか
もうどこをどう捻ったらそんな物語が母の頭の中で出来上がっていくのか
なぜ突然、自分が詐欺の一味だと思うようになったのか???です。
そうかと思うと
「ここ(母の入居している施設)は倒産したのよ、でも誰にも言ったらだめよ」だの
「私は毎日意地悪をされて朝ごはんを食べさせてもらえないの」だとか。
聞いているこちらからすれば突拍子もない話なのですが母の中ではいずれも「現実」として捉えられているようで、今日も面会していた15分の間、真剣な顔をして
「あんたを狙って詐欺グループが動いているから最近になって知り合いになった人はその一味だから。すごく上手に取り入ってくるけど絶対に信用してはだめ!」と何度も繰り返し言っていました。
こんな調子の母との面会、15分と時間を切られているのはむしろありがたいと思ってしまう親不孝者です。
夕暮れが早くやってくるので気持ちが焦る中、諸々用事を済ませて足早に駅に向かっていました。
すると駅前の雑踏の中で隣に歩いてきた中年の男性が
「あの…… お急ぎですか?ご迷惑でなかったらお茶でも」って⁉
えっ⁉
これ、母が言ってた詐欺グループ?
ええっ⁉
返事もせずに小走りに改札に向かったのですけれど
私、鶴と亀の置物、買った方がいいんでしょうか?