もう随分と以前に誂えた訪問着は
底に重い赤が沈んだ黒の地に、松竹梅と吉祥柄が描かれています。
全体に描かれた柄行きが華やかなので袖を通す機会があまりなく、箪笥の中で随分眠っていたこの着物、今年は譲位の年でもあり、また私がお稽古させていただいている流派にとっても数十年に一度のおめでたいことが予定されていて、
そして我が家にとっても少しおめでたい年なので、久しぶりにこの着物を着ることにしました。
晴れの着物なのでその格に合うように、
普段は自分でしている髪結や着付けをプロにお願いしました。
さすが、着付けのプロ、
こうしてたまにプロの方にお願いすると自分でする着付けのもっさり加減が哀しいくらいにわかります。
襦袢と着物の襟の重ね方、おはしょりの始末、
帯の前幅の取り方、
スッキリと粋に仕上がっています。
腰紐三本、伊達締め二本を使うのみ。
それでこの仕上がり。
一日中着て動いてしていても
苦しくもなく、着崩れもしませんでした。
髪はおとなしく抱き合わせに、とお願いして
後はおまかせで。
次にこの着物に袖を通すのは何年後でしょう?
もしかしたらこれが最後になってしまうのか、
それとも来年、違う場所の初釜で違う顔ぶれの皆様とご一緒出来るチャンスがあればもう一度、袖を通すことができるでしょうか。