夫は無くし物の名人です。
これまで、とても大事なものから替えのきくものまで、
ありとあらゆるものをどこかに忘れてきたり、
落としてきたり、
行方不明になった持ち物、数知れず。
その中には探し当て、見つけ出して、私が受け取りに行ったものも沢山あります。
その夫、この冬、すでに手袋を2つ、
どこかで無くしてきました。
黒い革の手袋と、
とても手触りのいい濃い茶色のカシミアの手袋。
毎年のようにマフラーや手袋をなくしたり、
忘れてきたりするので、
(もう、次買うなら無くしてもいいものに)とその度思うのですが、
60才の男性の持ち物として、やはりそれなりのものを、と思うとなかなか方向転換できずにいます。
毎日、身に付けるものだからこそ
やはり心地よいものを持ってもらいたい、と思ってしまいます。
で、ここまで話してご推察の通り、
昨日、夫はまた手袋をどこかで無くして帰ってきました。
家にある夫の手袋はこれで残り1組になりました。
という事で、今日は夫の手袋を買いに出かけてきたと言うわけです。
タイトルだけ見ると、新美南吉さんの書かれたお話みたいですね。
話は逸れますが、私は新美南吉さんの書かれたお話では、『おぢいさんのランプ』がとても好きです。
『ごんぎつね』も。
新美南吉さんのお話はどれも胸の奥がキューっとなるような切なさや哀しさ、愛おしさがありますね。
話を戻しましょう。
手袋、セールになってシーズンの最初に比べるとだいぶお値段が下がっていました。
得してるんだか損してるんだかよくわからない買い物です(笑)
目的を果たして、お茶でも飲もうと別のフロアを歩いていると、
私の大好きな色、
それはきれいなラベンダー色のコートが目に飛び込んできました。
引き寄せられるように近づくと、
待ってましたとばかりに店員さんが
ぜひ羽織ってみてください、と声をかけてきました。
コートですもの、いくらセールになっているといってもホイホイ買えるようなお値段ではないことはわかっていました。
けれど、そのあまりにきれいなラベンダー色のコート、
そのまま立ち去り難く、
羽織るだけ、と、
鏡の前で見てみると、
サイズも長さもいい感じ。
イタリア製の生地の軽くて温かいことったら。
袖についているプライスカードをチラっとみると、
……
思った通り、
これ、いただきます
とは言えない金額でした(>_<)
後ろ髪を引かれる思いで、
「一回りして考えます」とその場を離れました。
そして、本来の目的、お茶を飲む、ために
デパートの中のケーキ屋さんへ。
ハーブスって、全国展開しているお店でしょうか?
私の知ってるデパートには入っていることが多いです。
チョコレートカスタードケーキと紅茶
紅茶はアップルティーにしました。
ハーブスのケーキは1ピースがとても大きくて、味もしっかり濃いので
食べてるうちにお腹いっぱいになってしまいます。
ハーフサイズがあればいいのに、
食事のセットなどにはハーフサイズのケーキがつくのですが、ケーキ単品のオーダーではハーフサイズはありません。
きっと食べきれないだろうな、と思いながらオーダーして、やはり4分の1ほどは残してしまいました。
ケーキを食べて、ポットの紅茶を、
カップにたっぷり二杯飲んで、
さっきのコートのことを考えていました。
諦めるのはとても残念だけど、
とても好きな色だけれど、
出会わなかった、と思って諦めよう。
お茶を飲んだ後、そのコートを見ない通路を選んで下りのエスカレーターに乗り、
地下のフロアで、野菜や果物や、
お肉や魚を買って帰りのバスに乗りました。
あのコート、だれかが買うんだろうな、
その人にとても似会うかしら、
と今も、往生際の悪い私は買わなかった(買えなかった、でしょ)ことを少し後悔しています。