この秋、急に世の中が息を吹き返したように様々なところで各種のイベントなどが行われていますけれど、各地の博物館・美術館も大変興味深い展覧会を開催しています。
現在、京都国立博物館で開催中の『特別展 畠山記念館の名品 ー能楽から茶の湯、そして琳派ー』は是非とも見たい展覧会の一つでした。
予約優先、と言うことで「畠山記念館の展覧会に行くけれど?」と夫に話したところ
一緒に出掛けるというのでネットで二人分、日時を指定して予約しました。
今回の展覧会はネットで予約、その後ローソンのロッピーで予約券を発行してレジカウンターでチケットを出してもらう、と言うシステムでした。
夫はキャンパスメンバーズなので割引チケット、私は一般、予約するときに間違わないようにちょっと緊張。
ネットで予約、でもスマホに送られてきたQRコードを見せて入場する方法などもあって
同じ京博でもその展覧会によって予約システムが違うようでした。
昨日は一日中雨で、私は姫路まで母の入院している病院へリモート面会のために出かけていたのですが今朝、目覚めてカーテンを開けるとどんより曇ってはいましたけれど雨が上がっていたのでほっとしました。
朝ごはんを食べて着物に着替えて夫と出かけました。
京都国立博物館 入場ゲートそばの看板。
是非とも見たいと思っている井戸茶碗『細川』や唐物茶入 肩衝『油屋』の画像でテンションが上がります。
平成知新館(京博の新しい方の建物です、観覧しやすい設計だけれど私は重厚な元の本館(明治古都館)の雰囲気が好き)に入ると正面にゲートそばのと同じ今特別展の巨大看板がありました。
写真を撮ってもらった後で塵除けを着たままだったことに気づき、
ロッカーで脱いだ後、また撮ってもらいました。(また撮るんか?と夫がのたまう……)
お目当ての茶道具はもちろんのこと、能面や能装束の素晴らしいこと。
利休さんの消息などの掛物や畠山即翁の茶会日記など興味深いものだらけで
とても充実した内容の特別展でした。
観てきた名品の数々のことを書きたい気もするのですが
この感動をうまく書き記すことは難しそうです。
同じ時代に生きたお数寄者の展覧会にいくと必ず思うことですけれど
横のつながりが興味深く、各人の間でお道具を手に入れるための丁々発止などが折々の手紙を読むことで見えてきたり、もとても面白いのですが
今回、展示されていた『柿の蔕茶碗 銘 毘沙門堂』(李朝 焼締めのすっきりとしたお茶碗です)も即翁の所有していた銘碗の一つですけれど
一旦は益田鈍翁の手に預けられた『毘沙門堂』ですが、「隠居の身ゆえ購入を辞退」し、後に即翁が手に入れ、
そのお披露目の茶会に鈍翁を招いていていますが、この事に鈍翁は祝いの気持ちを記すと共に手に入れなかった悔しさも茶会に招かれた礼状の中で滲ませ、「毘沙門堂柿の蔕ひとつが老の思い出にくやしというもおもしろの世や」という狂歌まで残しています。
その書状も展示されていたのですが、長い長い巻物の手紙の中に何度も「悔しい」という言葉が書かれていて、したためられた巻紙の書状をきれいに折り畳み即翁の宛名を書いて切手を貼り速達で送っているのも観ることができました。
展示室のほぼ最後のコーナーに、今回の目的の一つ、
井戸茶碗の『細川』と、それに並んで粉引茶碗の『松平』が展示されていて
もう見たとたんに溜息。
しばらくは動けず腰をかがめて見たり、見込みを上からのぞき込んだり、
一旦離れて、また戻って見たり。
素晴らしいお茶碗でした。
同じ井戸の名品とされる『喜左衛門』と比べると『細川』茶碗はすっきりと端正な印象。 枇杷色がとても美しかったです。
同じ展示室に肩衝茶入の『油屋』もありました。
こちらも素晴らしいものでとにかく伝来がすごい。
油屋常言―豊臣秀吉―福島左衛門太夫正則―福島正利―柳営御物―土井大炊頭利―河村平太夫瑞軒―上田宗吾―松平不昧、ときて即翁の手に渡ったものですが
書付によると不昧公は参勤交代の際には自らよりも前にこの茶入『油屋』を進ませたそうで
『油屋』のために設えた仕覆の数々、二重三重に納めらえた箱、そして参勤交代の際に先頭を進む武士が背負った笈櫃までもが揃って展示されていました。
同じように茶入『油屋』を乗せる若狭盆も展示されていて若狭盆のための仕覆や箱も観ることができたのは予想外の感激でした。
以前、道具屋さんで油屋の写しを何度か見かけたことがありますけれど
本歌の持つ凄みのような「オーラ」はやはり特別です。
さて、今日の着物。
あぁ、本当は見たくない……
けど、自戒を込めて。
櫨染(はじぞめ)色の結城紬
何度か洗い張りをしているので柔らかくて毛羽もかなり取れてきています。
で、やはり背中 左の肩下のたるみがひどいです。
でもね、今日、半日着物を着て、帰宅後脱ぐ時にふと思いついたことがあって
試してみたら何となくこのたるみが解消できそうな感じがしました。
試してみたことは次回着物を着る時にトライしてみて
上手く行ったらここに書いてみます(^^;)
帯は紬の藍染 型染で更紗文様が太鼓柄で入っています。
帯揚げは結城に合わせて辛子色の綸子
帯締めは帯の更紗文様から1色取って紅色の平組にしました。
出かける時は空がどんよりしていたので雨コート兼、塵除けに
蛍ぼかしのコートを着て出かけました。
帰りにはいいお天気でコートをしていると暑いくらいでしたけれど。
この特別展、見どころ満載で2時間近く会場内にいたのですが
体力気力が限界で頭がぼーっとしてしまったので
会期後半にもう一度出かけてこようと思っています。
今回はお茶道具とそれに関係する書き物中心で見て回ったので