急に気温が高くなって、各地で桜の開花宣言が出されていますね。
気が付けば3月もあと数日、年明けからの3か月は本当におっという間、と毎年同じことを思います。
先日の日曜日はお茶のお稽古日でした。
気温がぐんぐん上がりそうな日曜日、単衣の着物でもいいんだけど、と思いながら
さすがに朝出かけるお時には少し衣紋を抜いた首筋が肌寒いような気もして、
ましてやお稽古では単衣を着ていくこともできず(いや、単衣を着て行ってもどなたも非難や指摘はなさいませんでしょうけれど)羽織物を単衣の道中着から紋紗の道中着に変えて、1月にも着用した白練りの色無地で出かけました。
着物は白練り色無地 紋はついていない気軽に着ることのできる色無地です。
着物が白だと帯はどんなものを持ってきても合う!と思うのですが、これが案外、
白って合わす色を選ぶような気がします。
私の年齢もあると思うのですが、帯の色柄でかわいくなりすぎる組み合わせになりがちな気もします。
洋服で言うと白のワンピース、といったイメージでしょうか。
この日、この白練りのワンピースを選んだのは、この紫の帯が結びたかったから。
江戸紫色の地にレンゲやつくし、スギナが描かれたお太鼓柄の九寸名古屋帯です。
この帯、今、着用しないとまた来年の早春までタンスに眠らせることになってしまう、と、前日の夜に慌てて出して準備しておいたんです。
帯まわり
帯揚げは淡いピンク、唐織で桜の花が織り出されているのですがこうしてみると桜は全然見えてませんね💦
帯締めは薄灰色の冠組。
ところで、話は唐突に変わるのですが、先日NHKで放送された
『妻亡きあとに~近藤正臣 郡上八幡ひとり暮らし~』 というドキュメンタリー番組をご覧になった方、いらっしゃるでしょうか?
この番組、番宣を見てから気になっていて、録画予約していました。
今夜、夕食後にゆっくりした時間があったので録画していたものを見ることに。
夫は「なんか身につまされそうな番組やな、観るのが辛くなりそうや」と言いつつ、
一緒に見始めました。
近藤正臣さんと言えば、かつての二枚目俳優、年齢を重ねるにつれて役柄を上手に受け入れ受け止め、いい老人役を演じられるように変化していった稀有な二枚目俳優さんだ、と感じています。
ですが、なんといっても印象深いのは子供の頃に見た「柔道一直線」でピアノの鍵盤の上にひょいっと飛び上がり、足で「猫ふんじゃった」を弾くあのシーン、衝撃でした。
関西の子供としては「んなわけないやろ!」と突っ込み入れずにはおられないシーンでしたけど、主役の桜木健一さんを完全にくって、俳優として一躍有名になった出世作。
今夜観たドキュメンタリーは56年間連れ添った奥様を2年前に亡くされ、一人暮らしになった俳優の近藤正臣さんの孤独と老い、奥様亡き後の生活に密着した番組でした。
50代で認知症を患われた奥様は小学校からの幼馴染。
その奥様と添い遂げ、最後まで介護された、その奥様がいなくなってから、が番組の始まり。
まるで萎んでしまった風船のような、観ているこちらが寂しく、切なくなるような様子の近藤正臣さん、静かに死に向かうように、食欲が落ち友人との交流が減って生きる気力をなくされているそんな姿をカメラは見つめ、自らも「生きたいと思わない」と口にされているのですが、時間が少しずつ心を癒してくれたのか、番組の最後には「食欲があるんだよ」と、欲があるうちは生きてみようと思う、というようなことを語られて閉められていました。
色々とあってもこういう番組を作れるのがNHKのいいところだと私は常々思っています。
録画した番組はしばらく消去せずに、今度は一人の時にゆっくり見てみようと考えていることは夫には話しませんでした。