朝から冷たい雨が降る中、お茶のお稽古に出かけました。
12月も半ばを過ぎて、何となく気忙しく落ち着かない日が続く中、
お茶室にいる時間だけは不思議と日常の気持ちのざわざわを忘れ
楽しい時間を過ごすことが出来ています。
今日、お稽古に着て出かけたのは
遠山に楼閣と草木柄が細かく織り出された手紡ぎの結城紬。
実家の和箪笥の中にあったもので、真綿を紡いだ人、反物に織り上げた人の名前が入った証紙が一緒にしまってありました。
いつ頃手に入れたものかわかりませんが、もしかしたら私の手持ちの着物の中で(今となれば)一番高価なものかもしれません。
この着物はこの夏、洗い張りに出して仕立て直ししてもらったので
今朝は仕付け糸を取って着て行きました。
せっかくの洗い張り・仕立て直しなので、ついでに八掛を少し濃い色に染め直してもらいました。
帯は漆箔。
濃い紫のような茶色のような地色で、この帯は本来、お太鼓部分にお茶道具の「棗」と「仕覆に入った茶入」の柄が刺繍のような細工で入っているのですが
お茶室にお茶道具の帯を締めていくのは憚られましたので
柄の部分を太鼓の中に入れ込んで無地場でお太鼓を作って締めてみました。
お稽古でご一緒になった、まだお稽古を始めて間もない方から「何かきらきら、動かれるたびに光っているみたいに見えますけど、どういう帯ですか?」とお尋ねがありました。
「漆箔の帯なんです」と漆箔について少しお話しました。
漆箔の帯は、和紙の上に漆を塗り、その和紙をごくごく細く、絹糸のように切り出し、
その糸に金箔や銀箔をまた重ねた物を糸として織り上げる技法です。
本来、お太鼓部分に出すべき柄部分をあえて外して無地場でお太鼓を作ったので
なんだか後ろ姿のお太鼓の形がちょっと変 (^^;)
帯締めは薄灰の細めの冠組です。
雨でしたので、この上に雨コートを羽織り、伊と忠の雨草履を履いて出かけました。
お稽古場のお仲間、雨草履は伊と忠さんの物を履かれている方が多く(ほぼ9割・こと子調べ)、玄関の下駄箱に並んでいるとどれが自分のか迷うことが多いです。
伊と忠さんの雨草履は台の色がどれも淡くてよく似ています。
なので皆様それぞれ工夫をされていて、
花緒キーパーをつけてみたり、購入の際に前坪を自分好みの色の物に替えられたり、
花緒を既成の物から替えられたりして、間違わない工夫をしています。
私は花緒キーパーを使い、
草履の裏にマジックで名前も書いています。
お稽古から帰ってくるとちょうどご近所の方が我が家に見えられるところとお会いしました。
「いつも同じものですが」と下さったのは愛媛の一六タルト。
ご実家が愛媛で、いつもこの時期にお墓参りに帰省され、私の好きな一六タルトをお土産に、と下さいます。
明日の朝ごはんの後の甘いものに、頂くのが楽しみです。