平安神宮では毎月第二日曜日に月釜が掛けられています。
これは平安神宮の崇敬付属団体「澄心会」の月釜なのですが、三千家をはじめとして様々な流儀が輪番で席を持たれています。
今月は私がお稽古している社中の当番で、お稽古仲間の先輩先生(Hさんとします)がお席主を務められました。
先週の金曜日、奥の点前稽古の日のことです。
宗匠宅の玄関を開け、袴付けに上がり身支度を整えているとHさんが何やら真剣な面持ちで
「こと子さん、ちょっと」と話しかけてこられました。
(えっ⁉私何かしでかしてしまったかしら)と緊張しつつ膝を進めますと
先月の灰のお稽古の際に私が作らせていただいた土風呂の灰を
6月の平安神宮の月釜で使わせてもらうわね、というお断りでした。
平安神宮澄心会
(あぁ、良かった。何かしでかしてお叱りを受けるのかとドキドキしたぜ)
「私などが作った灰をそんなお席に使ったいただいてもいいのでしょうか?」とお返事申し上げると
「宗匠、6月の稽古で使うつもりでいらしたみたいだけど、その前に平安神宮のお茶席にこの灰を使いなさい、と宗匠からご指示があったので使わせていただくわね」と
恐れ多いお答えでした。
「お役に立てていただけるなら光栄なことです、よろしくお願いいたします」と
その日はそんなお話をしていました。
月釜が掛けられた6月12日、私はお稽古を入れていたのでお茶会にはお邪魔できなかったのですが
「こんな風に使わせてもらったよ」と丁寧なメールをいただきました。
そのメールに添付されていたのが↓この画像です。
見やすくするために画像を明るく編集しました。
三つ人形の蓋置がかわいい!
このお茶室、平安神宮の神苑の中にある澄心亭(ちょうしんてい)です。
コロナ以降、まだ現在も一応の用心のために原則、月釜は澄心会の会員(と案内状を持っている方)のみ、席入りすることが出来るのですが、コロナ以前はどなたでも予約なしで参加できる大寄せの茶会でした。
神苑の拝観料600円とお茶券代800円をお支払いするとどなたでもOK、
とても気軽に出かけることが出来るお席で、おそらく京都の様々な月釜など定期的なお席の中では一番参加しているお流儀が多いお茶会でもあります。
コロナ以前は私も、第二日曜日、お稽古の予定が入っていない時はふらりとお邪魔することもありました。
どのお流儀が席を持たれているかわからないままで行き当たりばったりにお茶会に行ける楽しさもありました。
そのあたりは大寄せの気楽さですね。
まぁ時にはたまたま観光に来られた方が
「え、お茶会やってるの?」と入ってこられることもあって、
お気の毒なことに訳も分からぬまま、お正客にされてしまって何とも「いけず」なお席になることもあるのですけれども……(^^;)
もう少しコロナが落ち着けばまた以前のように「どなたでもお入りください」のスタイルに戻ると思うのでその時を楽しみに待ちたいと思います。