こと子の日々の暮らし方

夫婦と猫3匹との平凡な暮らしを日記代わりに綴っています

曼荼羅塗り絵と結解料理

昨日、東大寺・二月堂の修二会に伺った記事の続きです。

 

お昼に東大寺に集合した我ら一同(って、誰やねん、お茶のお仲間です)

 

「いいお天気でよかったよねぇ」

「着物やと暑いわ」など、姦しく騒ぎながら、この日の目的地、東大寺・二月堂をすぐ近くに臨めるある塔頭へ向かって進みます。

途中、鹿が所在投げにぽつりぽつりと座ったり、立ったり。

コロナで鹿煎餅売りの屋台が出ていないので鹿もやる気でないわよね、

とアホみたいな話しながら行きました。

大仏殿から東へ、二月堂へと続く露地を歩いていくとその塔頭はありました。

お寺の入り口、山門には丸い形のしめ縄が掛けられています。

このしめ縄は練行衆を出している、というお印なのだそうで、

早くに先代住職のお父様を無くされ、今はその息子さんがご住職をされているのですが、今年も練行衆のお一人として修二会の期間中、厳しく清廉な日々を過ごされているそうです。

 

留守を守っておられる先代ご住職の奥様がこぼれんばかりの笑顔で出迎えてくださいました。

お伺い出来なかったけれど、多分私と同じくらいの年齢の方のようです。

 

まずは寺内に入れていただき、ご住職のお母様お手製の「糊こぼし」のお菓子とお抹茶をいただきました。

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糊こぼしは椿の品種の一つ、とても大きな花が付きます。

二月堂の須弥壇には和紙で作ったの糊こぼしの花を椿の枝に挿したものを飾られているのですが、その糊こぼしは練行衆を出された塔頭の皆様で一つ一つ作られるそうです。

毎年、紅花で染めた和紙を奉納されているのは京都の染司「よしおか」さん。

二月堂の修二会で用いられるすべての物は爪楊枝1本、和紙一枚からすべて、奉納されたもので行われるそうで、東大寺が国の寺として、国の安寧を願ってわたくしたちのために祈ってくださる厳しい行なのだそうです。

練行衆が身に着けられる装束も、練行衆以外の方が手を触れることは許されず、

もしも誰かに触れられてしまうと一からすべて、身を清めることからやり直しになってしまうそうで、その、表は和紙、裏地は綿で作られた装束もやはり寺内の人の手によって作られ、修二会が終わるとすべて燃やされてしまう、というお話をしてくださいました。

 

案内された茶室はそのすべてを法華堂(三月堂)を建て替えた時にでた古材で作られていて、床には聖武天皇が書かれた四行がかかっていました。

気が遠くなるような時間をその室内に抱えたようなお茶室でした。

 

お茶室を拝見し、様々なお道具や修二会に関する資料を見学させていただき、丁寧な説明を受けた後、下絵された曼荼羅に色を付けていく体験をしました。

 

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顔彩と下絵の描かれた色紙をいただき塗り始めたのですが

最初はどこにどんな色を塗っていこうか、迷いがあってなかなか筆を動かせませんでした。

皆も「えーー、どうしよう」「あっ、はみ出した」とか言いつつやり始めたのですが

ふと気が付くと誰一人言葉を発せず、ただ塗ることに集中し、あっという間に2時間が過ぎてしまっていました。

塗り絵でしょ?と思われるかもしれませんが実際にやってみるととても根気のいる作業で無になってただ色を置いて行く、と言うことに没頭してしまい

周りが少しざわざわし始めて(あぁ、だれか塗り終わったのね)と気が付き

ふと見ると外に夕日が差し込み始めていました。

 

全員の曼荼羅が完成し、色止めをしていただく間に

お楽しみの結解料理が運ばれてきました。

正式な結解料理はとても厳粛んば作法に則って長時間かけていただくお料理のようですがこちらの塔頭で頂いたのはご住職のお母様のお手製で少しアレンジが入っているそうです。

 

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結解料理(読み)けっけりょうり(コトバンクより)


東大寺に伝わる古式の精進料理。

古記録をもとに大正の初め頃復活された。

菊菜かほうれんそうのみそ和え、奈良漬け、白砂糖を添えたあずき餅、揚げ豆腐のすまし汁、ほうれんそうのお浸し、そうめん、凍り豆腐、せんべい麩と針しょうがの吸い物、さつまいもの揚げ物、浅草のり、陳皮などが出され、酒を飲みながら食したあと、抹茶と菓子で終わる。約3時間にわたる。

◇起源については定かでないが、荘園からの年貢の収支決算書を結解状といい、その年の年貢が無事に納められたお祝いとして、庄官たちにふるまった料理だったという説が有力とされている。

 

一の膳をいただいていると鐘の音が聞こえてきました。

お松明の合図です。

一同、席を立ってお部屋の廊下へ出ますとすぐ近くに二月堂に大きな火の玉のような松明が上がった様子が見えました。

 

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この日は全部で10本。

「息子は6本目です」というご住職のお母様の説明で皆で「1本目、2本目」と数を数えながらただただ溜息。それはそれは荘厳な景色でした。

 

7時から始まったお松明は7時20分には終わり、その後、お料理を続けていただきました。

気が付くと、今日はこちらに伺った午後1時ごろから最後は8時半頃まで

正座しっぱなし。

全員お茶のお稽古仲間なので正座には慣れているけれど

やはり曼荼羅を塗ることに没頭していたのでそんなに長時間正座していた感じはなかったのですが、

翌日の今日、グループLINEで

「ねぇ、ふくらはぎ痛くない」って(笑)

 

幸い、私はどこも痛みは出なかったのですが、

昨日に続いて今日も外出。

朝、母から「お菓子を持ってきて!」とご下命があり

デパートがあるのを待って買い物し、急ぎ母の入院先の病院まで母の好きそうなお菓子を持って出かけました。

 

病院で2月分の入院費をお支払いさせていただき(実はまだ計算ができていない、と言われたのですが「京都から来ました」と言うと会計の方が金額を計算してくださいました)、入院病棟の担当看護師さんに補聴器の電池を持ってきました、と言い訳と共に母の目的のお菓子の入った袋をお預けしてきました。

 

病院の滞在時間、約20分。

往復の時間と交通費を考えるとびっくりするほど高額なお菓子を母は食べていることになるのです(^^;)

 

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