お話をいただいた時から楽しみにしていた茶懐石とお茶席
今日は東近江の八日市にある1868年創業の茶懐石のお店に伺ってきました。
京都からJRに乗って近江八幡まで。
近江八幡で近江鉄道で2両編成のかわいい電車に乗り換えて八日市まで約1時間の小旅行気分を楽しみました。
近江八幡駅ではちょっとしたアクシデントがあって近江鉄道への乗り換えがギリギリになりました。
ICカードが使えない、駅改札の横の窓口で駅員さんから切符を手渡しで買いながら、「あぁ、30分に一本の電車が出てしまう!」と焦りながら話していると
切符に判を押してくれていた改札の係りの方が
「大丈夫ですよ、私が運転するのでまだ電車は動きません」と笑いながら言ってくださったのでほっとして思わずこちらも笑ってしまいました。
コトコトと走るかわいい電車に乗って着いた先は
一歩門をくぐるとまるでそこは別世界
思わずため息がこぼれました。
打ち水された玉砂利の道を進む、敷地全体がまさに市中の山居。
1400坪に点在するお茶室と素晴らしい庭を眺めながら玄関をくぐりました。
まずは大広間で茶懐石
テーブルに椅子席でしたので正座の心配なくお食事に集中出来ました。
大広間の床には私がお稽古している流派のご当代の筆で
「開門落葉多」の掛物
落葉の部分には紅葉の葉と松葉を色押しされています。
脇床には小ぶりの茶壷が飾られ季節を感じます。
画像下右より時計回りに
酒・飯(煮えばなに唐墨)・汁椀(ズワイ蟹しんじょ)
お造り(紋甲烏賊・平目)・向付(いくら・うに・長いも とんぶり・菊・海月 茸・紅鱒・?緑のお野菜忘れました)・焼き物(鰆・柚餅子)
箸休め(自然薯)・強肴(京芋・鴨つくね・菊菜・柚子)・湯桶 香の物(鰻佃煮・出し汁)・水菓子(グレープフルーツ寒天寄せ・洋梨・柘榴)
一つ一つの品に老舗の味を感じさせていただきました。
この後、お茶席へ。
床には見事なルソンの壺が行の結びで飾り紐が掛けられていました。
行の飾りとは珍しいですね、とのお正客の問いかけに
「桃山の壺に桃山の紐で、同じ糸で同じ色の前飾り用の紐を作ってほしいと思ったら
糸の材料も染料も、もう同じようなものはできません、と言われたのでこの壺には前飾り用の紐はないのです」とのご主人のお返事でした。
お腹いっぱい、と言いながらお茶席ではお餅と栗の入ったお善哉を美味しく頂戴し、
お干菓子までお腹に収めてしまいました(^^;
こちらのお店のご主人、なんと100才を迎えられ、なお矍鑠とお道具の説明など
楽しくお話しくださいました。
至福の一服を頂き日が西に傾きかけた頃にお暇を。
最後の最後まで心づくしのお見送りが嬉しく、歴史と伝統に裏打ちされたもてなしをお土産に皆様と楽しく帰路につきました。
今日の着物
白梅鼠色の花丸紋付下げ
帯はたれ先の裏に「御所の庭」と銘が入っている袋帯
帯揚げは濃紫のちりめん
支度をして出かけようと夫に
「留守の間、猫たちお願いね」と声を掛けたら
「君、なんか今日は着物と帯の色合いが同じようでつまらん感じや」と余計な一言が降ってきました。
……わかってるよ、自分で着終わって後ろ姿を鏡で見て(しまった!)って思ったんだもん。