茶道の場面では様々な裂(きれ)を拝見する機会に恵まれます。
床のお軸の表装、お道具を納める仕覆、貴重な道具を扱う際の帛紗など
色々な裂地と接することが多いのですが
その裂地にはいくつかの分類があって、
正倉院に収められているような宝物に由来する正倉院裂と言われるようなものや
インドを発祥とする型染の一種の更紗、
中世に渡ってきたヨーロッパやペルシャなどからの織物や染織品の極古渡・古渡など
多種多様な裂地が茶道の中に用いられています。
誰もが知っている有名な名前の付いたものから
めったに見る機会のないのものまで、
道具の拝見の際に裂地の種類を訊ねる問答もあって
時に、その裂の名前と共にその名が付いた由来なども問われることがあります。
自分の持っている仕覆や帛紗などの裂地の名前くらいは知っていても
お茶会やお稽古で拝見する場合など、ほとんどが初めて拝見させていただくものも多くて裂地の勉強もしなくては、と以前から思っていました。
先日手に入れた本。
淡交社から発行されている【茶の裂地名鑑】です。
淡交社さんは今日庵さん所縁の、主に茶道関係の書籍や茶道で用いる道具や小物、和装品などを扱っている会社です。
私にとっては他流の今日庵さんですけれど、日本で一番大きなお流派である今日庵さんの所縁、と言うこともあって他流ながらも利用させていただきたいものを多く扱っていらっしゃいます。
幸い、自宅から徒歩圏内に本社及び販売店舗があるので前を通る機会があると
張り出されているポスターやショーウィンドウに飾られた品を見ることができます。
その淡交社が出版しているこの本、とうとう入手しました。
B5判 索引以外は前頁カラーで上等の紙を使った重厚な作りの本です。
読みが難しい名前が付いた裂地も多いのですがそれぞれの裂地の写真に
読み仮名と、由来などの解説文が付いていてとても面白い本です。
ただずっしり重いのでお稽古に持参するのは難しそうです。