数年前、お手入れや寸法直しなど、細々としたことをお願いしている近所の呉服屋さんで深緋色の長襦袢を仕立てて貰いました。
私の着物生活は基本的に茶道メインなので手持ちのほとんどがやわらかもので
かたものは数えるほど。
【袷】
泥染め大島紬 1枚 ヨコソの大島 1枚 白大島 1枚
白山紬 1枚 手紡ぎ結城 2枚
【単衣】
ゼンマイ紬 1枚 花織紬 1枚 紅花紬 1枚 本麻ちぢみ上布 1枚
これだけ(^-^;
かたものは着付けがしやすくて好きなのですが
着物友達と出かける時や美術館や百貨店などへふらりと行くときくらいしか出番がないので着物を新たに買い求めるとなるとどうしてもやわらかものになってしまいます。
着物がやわらかもの中心なので長襦袢も袷・単衣・袖無双、それぞれに訪問着用に少し格のあるものや
小紋などに合わせる洒落柄の物がほとんどです。
ある時(晩夏の頃だったと思います)、件の呉服屋さんの店内に長襦袢の反物が
展示してあって、かわいい吹き寄せの柄で色は深緋色、辛子色、深緑色の3色が並んでいました。
思わず、かわいいなぁと見ていましたらお店のご主人が
「今仕立てはったら秋に間に合いますよ」と。
紬の下に着るのにちょうどいい長襦袢を1.2枚しか持っていなかったので
その3色のうちから深緋色を選んで仕立て貰いました。
さて、この吹き寄せ柄の長襦袢、
初めて着たのはヨコソ大島の下に、でした。
着物を着る方ならお分かりかと思いますけれど着物って洋服に比べてずっと暖かくて
初冬などでも一日着て歩いたりするとじっとり汗ばむくらいです。
その日、帰宅して着物を脱ぎ衣桁にかけた時に
着物の胴裏、ちょうど帯枕の紐が当たる、両袖の下あたりに紅色の滲みができているのに気が付きました。
(長襦袢の色が移ったんだ!)とヒヤリ(*_*)
着物の下で私の体温と身体から出た湿気で長襦袢がまるで蒸されたようになって
胴裏に色移りしてしまったようでした。
古い反物では色移りは聞く話ですけれど
最近は反物を化学染料を使って染めるので色移りもしない、という風に何かで読んだりしていたのでちょっとびっくりしました。
色移りしたヨコソ大島はすぐにお手入れに出して
この長襦袢も洗いに出しました。
それからは色移りすることもなく何度か着用していたのですが
土曜日の着物の下にこの長襦袢を着て出かけ
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帰宅して着物を脱いでみましたら
↑ これ、絹の肌襦袢です。
うっすら色移りしているのは背中の帯枕が当たる場所です。
(私は今の季節の着物下は晒で胸をつぶした上にこの洗える正絹の足元まである肌襦袢を着て、その上に長襦袢、そして着物、という具合です)
あら、また色移り(*_*)
と、着物の胴裏をじっくりチェックしてみましたけれど
胴裏には色移りはしていませんでした。
土曜日は袷を着ていると汗ばむほどの陽気、
しかも、一日着物を着ての帰り道、うっかりタクシーで椅子にもたれてしまったんです。
道中着を着ていたので帯は守られている、と油断したんです。
でも、思わぬところに油断の跡がついていました。
背もたれに体重をかけてもたれたことで帯枕が背中に押し付けられることになって
その帯枕の部分に色移りしてしまったんです。
やはり疲れていても、いくら道中着や塵除けを着て着物や帯を守っていると思っていても車や電車で背もたれにもたれることはやめるようにしないと、と反省の種の色移りでした。
(幸い、この肌襦袢は家で洗濯できる絹なのでウタマロ石鹸をこの部分につけて丁寧に洗い、そのあと、おうちクリーニングコースで洗濯をしまたきれいに落ちてくれました、やれやれ)